懐かしくて可笑しくてあたたかい家族のこと『開店休業』

編集者の天野恵二郎さんから『開店休業』(プレジデント社)をお送りいただきました。ありがとうございます!

開店休業

「戦後思想界の巨人」と呼ばれる吉本隆明氏が、2007年から2011年の間に食の月刊誌『dancyu』に連載したエッセイに、長女ハルノ宵子氏が描き下ろした追想文を挟み込んだ1冊。

タイトルの『開店休業』とは、目の調子が良くなく、食についてのネタも尽きてきた吉本さんが、担当編集者さんに「連載を終わりにしますか」と聞かれて「緩やかに続けましょう」でも「いつ書けるか約束はできません」と答え「開店休業」のお店の例を出したことに由来しているそうです。

担当編集者さんも「その熱意と無邪気さをあわせ持った突拍子もない提案に押され、僕は「開店休業」を承諾して編集部に戻ったのです。」とのこと。

私は『dancyu』ということもあり、てっきり本当に開店休業しているお店に食べに行くグルメ本かと早とちりしていました(笑)

内容は吉本さんのノスタルジックな「食べ物小咄」に、ハルノさんが長女らしいしっかりさでツッコミをいれたりフォローを入れたり、本業のイラストでナゾの食べ物を解説したりと大活躍。食べるのも料理をつくるのも嫌いな母のキャラがいい味を出しています。

吉本さん親子は同居していたので、ハルノさんは父の老いや病、死の時も寄り添っていたのですが、すべてがあたたく愛おしい感情に溢れ(時にブラックなのも絶妙な笑いのスパイス!)まるで親戚の家の居間に座っているような気持ちになります。

書かれているのはびっくりするくらい日常の家族の姿。でも振り返ると日常の喜怒哀楽こそが大事な思い出だったり、幸せになるということを思い出させてくれる濃い1冊です。

お正月や七草粥、節分、お月見などの季節の料理、せんべい、大福、たい焼き、グミなどのおやつ、実験料理の衣揚げや間違って覚えていた陸ひじき…。この本を読むと、実家に帰っていない人ほど帰りたくなるかもしれませんね。

追伸:P88に出てくる「ぼてぼて茶」は微妙グルメコンテストがあったら1位を狙える逸品です。ぜひ島根県松江市に行ったら食べてみて下さい。2回めは……もういいかな。
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by mitchyPR | 2013-05-31 13:39 | 本のこと

ヤマモト・ピーアール 水牧美智子