調べものをしていて偶然出会った、幸田露伴の『努力論』 (岩波文庫)を読んでみました。
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難しそうな本も読むんだゾ☆

作家でドイツ文学者で評論家の中野孝次さんの解説によると「『努力論』と名付けられた露伴のこの著書は、そのことをさらに徹底して人生の明暗、幸不幸をいろんな角度から研究し、どうやったら明るく伸びやかな気分をもって、勢いよくのびやかに生きられるか、を論じている。」のです。

と解説で述べ、さらに

「露伴がわざわざこんな問題について書いたのは、彼がこれを著した明治末、大正のはじめのころ、事業の不成功とか失業とか、志を遂げないとか貧困とか、さまざまな外的要因のゆえにみずからを不幸と思い込み、悩み、苦しみ、陰惨な思いに沈んでいる人があまりに多く、それを見かねたからだという。」

と、なぜこの本が書かれたのかを説明しています。

これが世に出た当時(明治43年、1910年)は、日露戦争(1904-1905年)の戦後不況あり、アメリカ発の金融恐慌(1907年)ありで、明るい未来が見えず、現在と経済的な環境が似ていたのでは?と思います。(経済に詳しくなくてゴメンね!)

内容は「露伴がいま生きていたら、ビジネス書のミリオンセラー著者になれたかも…。」と思うくらい名言が詰まっています。

「比較的狭い範囲内において志を立てて最高位を得んと欲したならば、平凡の人でも知らず識らず世に対して深大なる貢献をなし得るであろう。」

とか

「各自の性格に適応するものの最高級を志望したならば、その人は必らずその人としての最高才能を発揮して、大なり小なり世の中に貢献し得るであろう。」

のあたりなんかは、これって自己PRとか、セルフブランディングとか、自分の強みを作るとかのこと?って感じで今の自己啓発書となんら変わりはありません。

「自己の革新」という一番最初の章では

(誰かのもとで学ぶときは)「自分の生賢しい智慧やなんぞを出したり、自己のために小利益を私せんとする意を起こしたりなんぞしてはならぬのである。」

とバッサリ。

さらに、「自らを新にする第一の工夫は、新にせねばならぬと信ずるところの旧いものを一刀の下に斬って捨てて、余孽(よげつ:切り株に生じる芽)を存せしめざることである。」

と、さらにダメ押し。

ビジネス書的なエッセンスは「初刊自序」から「凡庸の資質と卓絶せる事功」に凝縮されているのでこの約100ページ分を真剣に読み込み、あとはさらっと流し読みでもいいと思います。

人の心理というものは100年たっても変わらないようですね。(じゃないと学問が成り立たないか!)薄っぺらい自己啓発書に辟易してるあなた!これ、かなりオススメですよ。
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by mitchyPR | 2012-10-24 20:50 | 本のこと

東京女子書評部10月号

今回の女子書評部はいつもの新宿三丁目の「Bar ル・タン」にて。
ミッチーったら前の仕事が押したとはいえ大遅刻。ほんと申し訳ない。。申し訳ないので奥で下を向いています。(写真はいつも真実を激写する上重泰秀さん)
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今回の課題本は日本でも累計100万部の名著『夜と霧 新版』ヴィクトール・E・フランクル(著),池田香代子(翻訳) です。2012年8月にNHK・Eテレの番組「100分de名著」で取り上げられて以来、ジュンク堂でも丸善でもめっちゃ売れてるらしいです。(ソースは産経ニュースの「話題の本」。)

私がテレビ業界の人から教えてもらった、テレビ向けリリースを書くコツの一つは「なぜ、今なのか?」ということでした。

公式サイトのプロデューサーさんのコラムによるとこの本の「なぜ今」は、「今「生きる意味」を問うことは、閉塞感が漂う震災後の日本にとって大切だと思ったからです。」とのこと。実際、調査をしてみると『夜と霧』が被災地でよく売れているという事実もあったそうです。

もうね、まだ読んでいない人は読んで。お願い。ミッチーからのお願い。そして手元に何十年も置いといて、繰り返し読んでみて。人生で大事なことがたくさん書いてあるから。
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興味を持たれた方は、ぜひ版元であるみすず書房のサイトもご覧くださいね。
http://www.msz.co.jp/news/topics/03970.html
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by mitchyPR | 2012-10-20 18:49

献本御礼。

編集者の萩原貞臣さんから『小さく始めて1億売った ママ起業 私の方法』(祥伝社)をお送りいただきました。ありがとうございます!

と、いつもならここで書評に入るのですが…。

著者の園田正世さんが、だっことおんぶの専門店「北極しろくま堂」というブランドを立ち上げる時の「情報発信の仕方を工夫したいと思い、広告の世界で活躍していた情報意匠論を提唱するアドバイザーと委託契約をしました。」という一文が頭から離れず、きっとこれは運命に違いないとミッチーは情報意匠論をめぐる冒険に出たのであります。

情報意匠論を検索してみると、「情報意匠論は、常に先人に学びます。先人の言葉、書物、法則、出来事などに注目し、そこから型や方法を取り出し、現代の諸問題に重ね合わせ、問題解決を試みます。それは情報のリ・デザインです。」と説明した公式サイトが上がってきます。あとがきにもお名前がのっている、静岡大学客員教授の平野雅彦先生のサイトです。

読んでいたらもっと知りたくなってしまったので、セミナーやワークショップやAmazonで情報意匠論の本を探したのですが、無い。

…うん、これは直接お話をお伺いすればいいんじゃない?

と、いうことで即座にアポを取り、静岡まで来てしまいました!ひゃっほう!ちなみに初めて静岡駅に降りました。
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そして、平野先生の研究室へ。
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ああ、本に囲まれたパラダイスよ…。学生さんが長居してしまうのもわかるわあ。(うっとり)
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美味しいお茶とお菓子をいただきながら、北極しろくま堂さんの事例、情報意匠論とは何か、松岡正剛さんとのお仕事の話、環境心理学、歴史、言葉の精度、ダンバー数…もう書ききれないくらいの話をたっぷり3時間超も伺いました。
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研究室からヒマラヤ杉が見えるのです。

平野先生は園田正世さんのことを「いいな!と思ったことを素直に実行する力がある」とおっしゃられていました。実はおんぶやだっこの学術的な研究ってされていなかったんですって。そこで、平野先生は園田さんを研究者として位置づけ、世界のベビーウェアリングを研究してみない?と提案したそうです。そうしたら園田さんは大学院生となり、いよいよ来年度(2013年4月)から研究を始められるそうです。

人から提案されたものを実行すればよいかというと、単なるいいとこ取りはNG。合うもの、合わないものを選んで実行しなければなりません。つまり、ストーリーとして続くか前後の関係を考えなければならないのです。

園田さんは、よりよい抱っことおんぶの研究とその方法を育児者に教える人材の育成を目指すNPO法人「だっことおんぶの研究所」の設立もされているので、研究を始められるのは納得のストーリーです。

このことは得てきたことのほんの序の口。ブログでは書ききれないくらいの学びがありました。得てきたものを皆さんに仕事を通じてお伝えできるよう、頑張らねば。

とはいえ、情報意匠論は奥が深いのでまだまだ先生のところへ教えを請いにお伺いしたいと思います。先生、本日はありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いします!
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by mitchyPR | 2012-10-03 18:58

ヤマモト・ピーアール 水牧美智子