2013年 05月 31日
懐かしくて可笑しくてあたたかい家族のこと『開店休業』

「戦後思想界の巨人」と呼ばれる吉本隆明氏が、2007年から2011年の間に食の月刊誌『dancyu』に連載したエッセイに、長女ハルノ宵子氏が描き下ろした追想文を挟み込んだ1冊。
タイトルの『開店休業』とは、目の調子が良くなく、食についてのネタも尽きてきた吉本さんが、担当編集者さんに「連載を終わりにしますか」と聞かれて「緩やかに続けましょう」でも「いつ書けるか約束はできません」と答え「開店休業」のお店の例を出したことに由来しているそうです。
担当編集者さんも「その熱意と無邪気さをあわせ持った突拍子もない提案に押され、僕は「開店休業」を承諾して編集部に戻ったのです。」とのこと。
私は『dancyu』ということもあり、てっきり本当に開店休業しているお店に食べに行くグルメ本かと早とちりしていました(笑)
内容は吉本さんのノスタルジックな「食べ物小咄」に、ハルノさんが長女らしいしっかりさでツッコミをいれたりフォローを入れたり、本業のイラストでナゾの食べ物を解説したりと大活躍。食べるのも料理をつくるのも嫌いな母のキャラがいい味を出しています。
吉本さん親子は同居していたので、ハルノさんは父の老いや病、死の時も寄り添っていたのですが、すべてがあたたく愛おしい感情に溢れ(時にブラックなのも絶妙な笑いのスパイス!)まるで親戚の家の居間に座っているような気持ちになります。
書かれているのはびっくりするくらい日常の家族の姿。でも振り返ると日常の喜怒哀楽こそが大事な思い出だったり、幸せになるということを思い出させてくれる濃い1冊です。
お正月や七草粥、節分、お月見などの季節の料理、せんべい、大福、たい焼き、グミなどのおやつ、実験料理の衣揚げや間違って覚えていた陸ひじき…。この本を読むと、実家に帰っていない人ほど帰りたくなるかもしれませんね。
追伸:P88に出てくる「ぼてぼて茶」は微妙グルメコンテストがあったら1位を狙える逸品です。ぜひ島根県松江市に行ったら食べてみて下さい。2回めは……もういいかな。
2013年 05月 30日
広告と広報・PRの違い その3 ペイドパブリシティ
ペイドパブリシティとはメディア側にお金を払って取り上げてもらうことで、いくつかの手法があります。
例えば、雑誌を読んでいるときに、特定の商品や会社がやたらと詳しく紹介されていて不思議に思ったご経験はありますでしょうか。
そんな時、ページの端をよく見ると…。
「PR」「企画広告」「記事広告」とか「タイアップ企画」などの文字が入っているはずです。
それから、ドラマや映画の中で出演者が特定の商品をよく見えるように使っていたり、背景に企業のロゴやブランド名がよく見えるように演出されていたりするのは、「プロダクトプレイスメント」と言われる手法です。
「プレゼントパブリシティ」というのは読者プレゼントなどのページに商品やサービスを提供することです。様々なプレゼントは媒体が買ってきて用意しているわけではなく、企業に提供してもらっているのです。
それから「取材協力費」。協力費をお支払いしますので、うちを取材してくださいということです。
個人的にはあまりオススメしません。有名な人には謝礼金を払って出てもらい「あの○○さんも出ている××に社長もでませんか?」と人の虚栄心につけこんで営業してくる業者が不愉快だからです。
ついでに何万円の取材協力費を払えば、インタビューを自社が運営しているサイトに掲載しますとか雑誌に載せますとかいう電話も無視して下さい。通常、取材にお金を払うことはありませんし、掲載された情報は「カモにしやすい人」として他の業者にも有効活用されてしまいます。
そんな広告ともお金を介さない通常のPRとも、ちょっと仕組みが違うペイドパブリシティですが、うまく使えばもちろん効果があります。
実際、Webマガジンのプレゼントパブを使ったところ、商品サイトのアクセスが爆発的に伸びました。
PR会社によってはアドバンスや活動費、成果報酬が細かく設定されているようなので、よく確認されるとよいでしょう。
さて、広告と広報・PRの違いはお分かり頂けましたでしょうか。
書いておいて自分でも驚いたのですがなかなかややこしいものですね。
ご参考まで。
2013年 05月 29日
広告と広報・PRの違い その2 広報・PR
では、そういった企業がまったくメディアに出ないかというと「頑張る下町の町工場」とか「日本一の大盛り食堂」などでニュースや情報バラエティの番組などで取り上げられているし、その露出効果で繁盛していたりします。
もしかしたら関係者のコネがあったり、たまたま出られたのということも考えられますが、あらかじめメディア取材が殺到するような仕掛けをしていたとしたら?
ここで企業の広報部やPR会社の出番です。
■企業がメディアに取材に来てもらいたい場合
1.プレスリリース(ニュースリリース)を作成する。
2.FAX、郵送、メール等でメディアに送付する。
3.取材されるかもしれないし、されないかもしれない。
「えっ、PR会社に頼めば必ずメディアに取り上げてもらえるんでしょ!?」という方もいらっしゃるのですが、ここが広告と違う所で、メディアに価値を認めてもらえなければ取材はされないし、記事にもされません。
逆に言えばメディアが取材したくなるようなネタを仕込めばいいのです。
「2013年ユニーク入社式まとめ」
http://mitchyblog.exblog.jp/20239479/
「テレビの取材がくるリリースの書き方『テレビで売り上げ100倍にする私の方法 』」
http://mitchyblog.exblog.jp/20295958/
でも、ここでまたひとつ注意。
露出の量もタイミングも、どのような文脈でとりあげるのかもメディア側が決定権を持っています。「PRは無料の宣伝」ではない理由です。
よく、テレビに1日かけて取材されたのに、出たのはほんの一瞬だったということもあります。つまり取材した内容が使えなかった、またはもっとよい情報があったので編集で削られてしまったわけです。
こうしたことが起こらないようにするのが広報・PR担当者の腕の見せ所。事前にメディアと打ち合わせをしながら、できるだけよい取り上げられ方をされるよう準備・調整します。
このように広告料というお金を介さず、メディアの公平公正な立場で取り上げられた情報の信頼度は非常に高いと言っていいでしょう。
例えるなら、自分で「私は美人です」と言うのを広告とすると、第三者に「あの人は美人です」と言ってもらおうとするのがPR活動です。自分で言うより、他人に評価されるほうが信頼が高いということですね。
さて、そんなお金を介していないPRについて例をあげましたが、世の中には「ペイドパブリシティ」というお金を払って取り上げてもらうPRもあるのです。
それはまた明日。
※私が広報担当者になったとき、この本で基礎を勉強しました。
日本実業出版社
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2013年 05月 29日
広告と広報・PRの違い その1 広告
基本的な仕組みを押さえておくと、
「PRなら無料でメディアに自社を宣伝してもらえる!」
という文言が「ヘン」ということが分かるし、怪しげなPR本やPR業者に引っかからないで済みます。
いろんな切り口からの説明があるかと思いますが、今回はわかりやすく広告を出したい企業の立場から例をあげてみますね。
※これはミッチー個人の見解であり実務レベルの話であり、学術的な面からの考察や定義ではないのでご了承ください。
■企業が広告を出す場合
1.企業は露出したいメディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web)で販売をしている広告の「枠」を日時を指定して購入する。
2.それぞれの媒体の規定に沿って、掲載または放送してほしい原稿を作成。データをメディアに納品する。
3.こちらが指定した日時、スペースで掲載、放送される。
つまり、メディアが提供している広告用の「場所」や「時間」を企業がお金で買っているということです。予め露出の量もタイミングも指定できるし、アピールしたい内容も載せられます。
例えば新商品を発売する場合、販売地区や発売日に合わせた露出が可能になります。ただ、内容を広告主が決められる分、信頼度はそのぶん低め。
余談として、なぜ広告代理店を通すのか、ですが
・広告代理店経由でしか買えないメディアの枠がある。
・広告をどのメディアに乗せるか、どんな広告を打つべきか等々、マーケティングや制作についての専門的な知識を持っている。
と、言えます。
全国で一斉に発売する商品などは、自社で1件1件メディアと交渉するより広告代理店を窓口にした方が断然、効率がよいです。餅は餅屋ですねえ。
それから、媒体別の広告の種類や料金について一例をご参考まで。
(「調べたい媒体名 CM(または広告)料金」で検索すれば出てきます。)
テレビ
「日テレ広告ガイド テレビ広告の基礎知識からCM出稿まで」
http://www.sales-ntv.com/index.html
ラジオ
「ラジコム ラジオCM料金」
http://www.radioad.jp/price.html
新聞
「広告料金早見表 日本経済新聞朝刊全国版料金表 NIKKEI AD Web」
http://adweb.nikkei.co.jp/paper/ad/
雑誌
「日経BP社 広告掲載案内」
http://adweb.nikkeibp.co.jp/adweb/mad/nb_/nb__prc.html
さて、明日は広報・PRについてです。
2013年 05月 27日
東京女子書評部 2013年月5月号
女性誌などで活躍中のフリーライター亀山早苗さんをお迎えして留耽学園文化祭の「公開書評の会」として開催。
もちろん課題本は亀山さんの新刊『恋が終わって家庭に帰るとき』(WAVE出版刊)です。
亀山さんはwikiの説明どおりの「くまもん」好き!
くまもんクッキーをおみやげに持ってきて頂いたり、ちょっとした空き時間にくまもんのイラストを練習したりなどとてもチャーミングな方でした。
あと、座談会で知ったのですが、最近は「不倫」って言わないそうですよ。奥さま。「婚外交渉」とか「婚外恋愛」とか言うのがナウいんですって!
普通の恋愛においても「恋人」じゃなくてキスだけする「キス友」とか「キスフレ」もあるらしいですし、この業界(?)では相手に求める役割がどんどん細分化されているようです。
この日のおやつはスタイリストの仲千絵さんお手製の「薬膳的小豆とハトムギのお汁粉&杏仁のフィナンシェ」。うひゃ、おいしーい!!

詳細は東京女子書評部の公式ページにおいおいアップされることでしょう。
参加者の皆さまのびっくりディープなお話も聞けて、とても刺激的な2時間となりました。
2013年 05月 25日
蛸壺化コミュニティの居心地の良さは危険がいっぱい
半年ぶりにちょっと大きめのイベントをやりましょう!ということで決定です。詳細が決まりましたらまた改めて告知いたしますね。
それと、ここ最近の話題になっているソーシャルメディア絡みのトラブルのこともちょっとまじめに話してきました。
いま読んでいる『ソーシャルシフト』の中に「ソーシャルメディアの普及が引き起こす社会問題」というコラムがあるのですが、
「ソーシャルメディア上の情報爆発により、自分と相性の良い人々から発信される情報に浸りはじめる。すると、人々に届く情報に偏りが生じて、自分にとって心地のよい情報としか接することができなくなる。」
という一文があります。
自分に都合の良い情報に囲まれるということは独善的になりやすく、仲間内で許されていたことがある日、世間を騒がす炎上騒ぎにつながることもありえるのです。
情報の蛸壺にすっぽり入り込まないよう、気をつけていかなければなりませんね。
※三軒茶屋、キャロットタワーの26階はコミュニティFM「エフエムせたがや」のスタジオがあります。生放送を見ている女の子たち、ラジオに興味持ってくれたかな?

2013年 05月 23日
パワフルな女性の社長
今回お会いしたのは女性の社長。
とにかくパワフル。度胸がよくて、きっぷがよい。ビジネス的にむちゃくちゃたくましい!
何年か前に、地頭力の細谷功さんのセミナーでビジネスにおける思考回路は「商人気質」と「職人気質」に分かれると聞いたことがあります。
彼女は「商人気質」なのでお金儲けのアイデアがポンポン出てきます。
私は「職人気質」なのでお金儲けのセンスは皆無だけれど、サービスの質を上げる手段についてならアドバイスできます。
お互い、得意な分野であれこれと意見を出し合い、意気投合して3時間以上も話し込んでしまいました。
久しぶりに気持よく頭がフル回転です。
また一緒にお仕事できるといいなあ。
2013年 05月 22日
ビジネスでは「ちょっと速め」が望ましい
すごい毛筆手書きの宛名書きで。

いや、うーん。達筆なんですけど、スゴイんですけど、手がかかっているのは分かるんですけど。
遅い。
遅すぎる。遅すぎるので、選考の対象から外しておりました。
しかも、私どもがいかにホスピタリティにあふれていて素晴らしいかという自己満足を小説形式(!)で表現した小冊子が入っていました。『ストーリーとしての競争戦略』ってそういうことじゃないぞ。
私が欲しいのは料金表とサービスの詳細とメールでお伝えしたのに…。
資料の作り方もお客様目線ではなく、自分目線になっているのでやっぱり選考から外させていただきました。
「仕事が「雑で速い人」vs「丁寧で遅い人」どちらがエラくなるか?」『PRESIDENT』 2013年2月4日号
http://president.jp/articles/-/8274
とは言うものの、自分もどこかで同じような失敗をやらかしているかもしれませんね。
他山の石以て玉を攻むべし。うむ。
※文化庁の「他山の石」の説明の充実ぶりがすごかったのでついでに載せときます。
http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2011_10/series_08/series_08.html
2013年 05月 22日
事前審査は突然に
「水牧さんがお申し込みになったサービスですが、事前の審査がございまして。これから質問することに『はい』か『いいえ』でお答えください」
「はい、どうぞ。」
「それでは『はい』か『いいえ』でお答えください。新聞記者から取材を受けた場合、答えたとおりに記者は記事を書くでしょうか」
「いいえ」
「その理由をお答え下さい」
「(!?)…×××の×××は×××にあるので、取材を受けた側の答えがそのまま記事になるとは限りません」
「………」
「(ふぇぇ……相手の反応がないよぉ……)」
「……はい、けっこうです。水牧さんは広報・PRのご経験がおありで内容も分かっていらっしゃるのでサービスの利用が可能です。後ほど、許可のメールを改めてお送りいたします。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
プツン。
「(ひゃあああ、何これ、びっくりしたああああああ!!)」
先方の担当者の説明によると、サービスを利用する上で、広告と広報、PRの違いがわかっているか調べるためとのことでした。
これ、落ちていたら本当にシャレにならなかったです。とりあえず審査が通ってよかった。。
2013年 05月 20日
「東大 知のプラットフォーム勉強会」(5月)に行ってきました
2ヶ月に1回開催されていて、5月のゲスト講師は株式会社ループス・コミュニケーションズ代表の斉藤徹氏です。
第6回勉強会@斉藤徹氏
http://todaiknowledge.com/schedule/201304138.html
平野敦士カール氏ブログ
http://ameblo.jp/mobilewallet/entry-11532910584.html
ビジネスにおけるソーシャルメディアとは何か、「透明であること」が求められる時代にどのようにソーシャルメディアを活用していくべきかなど、とても内容の濃い2時間でした。
印象に残ったのは「ソーシャルメディアはメディアではなく、情緒的価値を共有するコミュニケーションであり、補完的なフェイス・トゥ・フェイスである」という言葉。Facebookは広告媒体ではなく「いいね!」なんですね。
セミナー終了後は「うおー、やるぞ!」という闘争心よりも、あたたかい気持ちが湧き上がったのは斉藤氏のお人柄のせいでしょうか。
ご著書を読んで、これからのビジネス書の著者はどのようにSNSを活用すべきかを考えたいと思います。
『ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと』

『BE ソーシャル! ―社員と顧客に愛される5つのシフト』

次回は7月の開催予定だそうです。
「東大 知のプラットフォーム勉強会」
http://todaiknowledge.com/